2025年1月2日木曜日

考察#1「B.S.(バイオニック・ソルジャー)について」


「第4のユニット」という作品を多面的に深堀していく考察シリーズ、第1回目は「B.S.(バイオニック・ソルジャー)について」です。



はじめに


「第4のユニット」という物語において、B.S.(バイオニック・ソルジャー)というのは一つの柱に位置づけられる重要な要素ですが、シリーズが進むごとに後付けられる設定のせいで全体像が把握しづらくなっています。そのため、本稿では断片的に散りばめられた情報を繋ぎ合わせて、B.S.とは何なのか、ということを掘り下げてみます。





表記について


第1作目と第2作目では「B.S.」と「BS」が混在していましたが、第3作目以降では「BS」にほぼ統一されています。





BSについて


以下、引用元は第6作目「MERRYGOROUND」付属の「MEMORIAL BOOK」用語事典です。


汎用生体兵器BS
WWWFの開発した初の汎用生体兵器。クローンBS、オリジナルBS、BSオリジナルマトリクスの3タイプが存在する。BSの遺伝子には、その性能を決定づける調整因子という生体強化遺伝情報が組み込まれている。
開発計画自体はアインハイトの台頭により現在凍結されている。




クローンBSとは


人間の細胞を元とし、薬物投与、遺伝子操作といった方法で造られたBS。しかし、男性体の製造は不可能である。ステラ、スドォ、ブロニー、アッシュ、セス、スイシーゼがこれに該当する。

クローンBSの3つの問題

第5作目「D-Again」にてアニス・エストリーデからクローンBSの3つの問題が語られます。

男性体の製造が不可能であること、生まれた状態では人格が全く欠落していること、生まれた状態では肉体年齢が1~2歳であること、の3つです。

まず男性体の製造が不可能であるの理由については、「男性細胞の持つX染色体とY染色体が、クローン調整中に共食いを起こしてしまうから」であるとされます。

共食いの科学的根拠は示されておらず、現実のクローン技術ではそのような話は出てこないので、BS特有の技術的な問題だと推測されます。実際のところは後付けのそれっぽいハッタリ設定だと思われます。

2つ目の問題は、「この状態で生まれたBSには人間として必要最低限の本能しかなくて、人格が全く欠落していた」「肉体年齢も1~2歳程度」であるといわれています。

ここも突っ込みどころで、ヒトは3歳までに人格が形成されると言われるので、肉体年齢が1~2歳であれば人格は形成前でしょう。また、肉体年齢についても疑問です。現実の体細胞クローン技術は出産という過程を経ますので、クローン体であっても通常のヒトと変わらず赤子から始まるためです。クローンBSは、何かしらの培養装置を子宮代わりとして細胞をもとにしたクローン体を成長させるが、それが肉体年齢1~2歳程度が限界、ということでしょうか。そうであっても人格の話は意味わかりませんが・・・。



男性体の製造ができない問題の克服

WWWFは、男性体のBSを造れない問題を解決するために統合軍と共同で受精卵のBS化に取り組みオリジナルBSを開発。また、若き科学者の越中優治を「BSは宇宙、海洋開発のプロフェッショナルとして活躍する次世代のスーパーエリートだ、と偽ってチームへの参加を承諾させ」て高速細胞増殖チェンバーを開発し「肉体年齢の問題を克服した」。



クローンBSのオリジナル

クローンBSは細胞から作られるので、母体(素細胞提供者)が存在します。ステラ、スドォ、ブロニーは第1作目で「姉妹のようにそっくり」と語られているので、細胞提供者は同じであると考えられます。(誰だかは不明)

アッシュとセスは第6作目以降に登場する「ルア・リップ・ソールズベリー」が素細胞提供者であることが明らかになっています。(ただし全く似ていません・・・)

スイシーゼの素細胞提供者はブロンウィン。

第2作目に登場したロストナンバー・レストアもクローンBSだと思われますが、これも素細胞提供者は不明です。

しかし、スイシーゼは姿形も髪の色もブロンウィンにそっくりですが、アッシュとセスはルアと髪色も顔も異なります。ステラたちは顔はさておき(第1作目は顔の書き分けができていないので・・・)、髪色は異なります。これは一体どういうことなのでしょうか・・・。

アッシュ・セスの誕生は2002年、スイシーゼの誕生は2005年ですので、この間にクローンの技術革新が発生した、ということでしょうか。(革新前ではクローン調整中の何らかの影響で顔や髪色が変化してしまっていたという仮説です。調整因子の組み合わせかとも考えましたが、法則性は見い出せなかったです。)

余談ですが、ステラたちの誕生は1995年。ブロンウィンの誕生の10年前です。第1作目の段階でブロンウィンの肉体年齢は16歳だと思われますが、ステラたちは一体何歳だったのでしょう・・・。

ステラ、スドォ、ブロニー、アッシュ、セス、スイシーゼのうち、素細胞提供者がBS(BSオリジナル・マトリクス)であるのは、ブロンウィンのクローンのスイシーゼのみです。

通常の人間から造られたクローンBSは調整因子の組み替えが都度必要なので、すべての調整因子を持つBSオリジナル・マトリクスからクローンしたほうが楽、という判断でしょうか。実際にスイシーゼは調整因子をAからFまですべて持っています。しかし、第5作目でダルジィから「クローニングには不向きだ。遺伝情報の劣化でパワーレベルが落ちる。だから、お前の量産も中止された。」と、クローニングによる遺伝情報の劣化が問題となり、ブロンウィンのクローン計画が中止されたとのことが語られます。





オリジナルBSとは


受精卵を調整することにより誕生するBSの総称。そのため、男性体のBSを誕生させることが可能。BSオリジナル・マトリクスのプロトバージョンといえる。現在5体の存在が確認されており、ゼロ・ツー・ニュークレオン、アニス・エストリーデ、ビスエル・バシニコフがこれに該当するが、UFBS-01、UFBS-03については生死さえも定かではない。

上記は第6作目時点の記述で、第7作目にて「UFBS-01」がアインハイト総帥・凰峯磊であることが物語中で明かされています。

「UFBS-03」が誰か問題については、こちらで考察していますのでよろしければご一読ください。

第4作目時点ではBSオリジナル・マトリクスとオリジナルBSは「オリジナル・マトリクス」として同一で語られていましたが、第5作目以降で別タイプとして分けられています。(「オリジナルタイプ」「オリジナルタイプのBS」「オリジナル・マトリクスのプロトタイプ」などと表現はバラついていますが。)

また、第5作目でアニス・エストリーデから「受精卵を調整されたオリジナルタイプは、1ヵ月の強制成長につき丸1年間のインターバルを取らないと、それに耐えられない」と科学的根拠は不明ながらその仕様について語られています。





BSオリジナル・マトリクスとは


オリジナルBSの延長線上にある、BSの最終形態。ブロンウィン、ダルジィはこれに該当する。クローンBSの母体となるために、全ての調整因子を有している。

調整因子とは


BSの持つ個々の性能を決定づける整体強化遺伝情報のこと。現在、A(アー)、B(ベー)、C(ツェー)、D(デー)、E(エー)、F(エフ)、G(ゲー)の7種類が存在する。具体的には染色体内に存在する人未発現因子のことをいい、すでに発現している因子と組み替えることでその力を発揮する。ただし、G因子のみはBSオリジナル・マトリクスにしか生成されない。

それぞれの能力は以下の通りである。

A・・・・・・骨格強化
B・・・・・・筋力強化
C・・・・・・反応速度の高速化
D・・・・・・思考能力強化
E・・・・・・知覚能力強化
F・・・・・・精神波動の高密度化
G・・・・・・?

上記は第6作目時点の記述で、第7作目の用語辞典にてG因子の能力が「細胞の活性化」であることが明かされています。

なぜG因子がBSオリジナル・マトリクスにしか生成されないのか、なぜBSオリジナル・マトリクスはブロンウィンとダルジィだけなのか、については分かりませんでした。





BS計画の凍結について


第4作目でブート・オスマイアーより「しかし!WWWFの奴らは、我々に何の通告もなくBSの開発を凍結しおった!奴らのいう凍結は計画の破棄と同じだ!!巨額の開発費を投入しておきながら、今になって一体なぜ!?」と、BS計画が凍結されていることが告げられます。

その後、上記のように第5作目ではブロンウィンのクローニングが中止されたことと、そしてBSに変わる第2世代生体兵器「強棲獣曝兵器G-Regen(きょうせいじゅうばくへいき・げー・りーげん)」(通称:G-R)の存在が明らかになります。
結局のところ、BS計画中止の直接的な理由は分かりませんが、要因は1つではなく、複数あるようです。

まあ第5作目時点で、WWWF側のBSで残っているのはダルジィと凰峯磊しかおらず、ダルジィは度重なるブロンウィンへの敗北によりメンタルをやられており、凰峯磊はWWWFを崩壊させてアインハイトを立ち上げるなど組織に反抗的で、まともに戦力になっている人材がいないことを鑑みると、一から育てることの困難さを感じても不思議ではありません。むしろ、WWWF側の成功例が物語上登場しないため単なる失敗プロジェクトに思えてしまいます。

そうなると、すでに手懐けている部下に強化剤を打って怪物化させたほうがコストは安いと判断するのも妥当とも言えます。

「MEMORIAL BOOK」用語事典で、BS計画の凍結に関する記述を抜き出しておきます。

(スリー・ダブリュー・エフ(WWWF)の項より)
だが、BSに代表される兵器類の開発も、上層部の利益追求でしかなかったことが判明した時、この組織はRt-12の工作により完全に消滅した。

(汎用生体兵器ビー・エスの項より)
開発計画自体はアインハイトの台頭により現在凍結されている。




G因子について


第5作目以降は、G因子が物語上の重要なファクターとなっています。

第5作目で、アインハイトのクーライヒ・ユンターがダルジィ、ブロンウィンをつけ狙う理由として、「調整因子G(ゲー)というものを知っているかな?」「どんな作用を持っているかは知らんが、BSの中でもオリジナル・マトリクスにしか生成されないものらしい」「だから君たちが必要なのだ」と言っており、アインハイトが二人のG因子を手に入れたがっていることが伺えます。

これは、第7作目でもダッシュ・ハウアーが「G因子はオリジナル・マトリクスにしか生成されないものよ。彼女たちが失われたら」と言っていることからも、アインハイトとしてG因子を重要視していることが伺えます。

しかし、同作ではジャッジ・バナドックが「人間にG因子を注入したものがG-Rだ」とも言っています。アインハイトの幕僚集団Rt-12(リッターリッヒ・ツヴォルフ)はそのほとんどがG-Rだと推測されるため、彼ら+ジャッジが注入しているG因子は一体どこから供給されているんでしょうか・・・?

BSオリジナル・マトリクスがブロンウィンとダルジィの二人しかいないことは物語中で言及されていますので、考えられるとしたら二人がWWWFに在籍していたときに採取したものを増殖しているとか?だとしたらG因子の供給には問題ないものの、なぜG因子というものが生まれるのかを研究したいというのが目的なのでしょうか。新たにBSオリジナル・マトリクスを造ればよい気もしますが、そこにBS計画を中止に追い込まざるを得なくなった何らかの要因によって、そもそもこれ以上は造れない理由があるのかもしれません。





記憶について


BSにとって、高速細胞増殖チェンバーによる強制成長や調整因子は主に肉体に関することで、ハード面の要素と言えます。ではソフト面は何か、というと、「記憶」だと思われます。

これについては第5作目でアニス・エストリーデから「人格っていうのはそれだけで存在するわけじゃなくて、持ち主の記憶と絡み合う事で成り立っているの。自分たちの都合のいいように記憶を消してしまうという事は、強制成長中に形成されかけた基礎人格の崩壊を意味するのよ。だから、記憶にプロテクトをかけその上に疑似記憶をプリントする、といった方法が取られたの。言ってみれば、洗脳みたいなものね」と語られています。

第一部でのブロンウィンは疑似記憶をプリントされておらず、記憶プロテクトのみであったことから、第1作目ではそれが「記憶喪失」と受け取られていました。第2作目では人格形成のため学校生活を送るということにもなっていました。

第6作目にて、ダルジィはプロテクトが解けましたが、過去については明かされぬままです。ブロンウィンに至っては過去を思い出そうとすると「あ、頭が・・・」となってプロテクトは解けず、第7作目では開き直ったのか能天気なアホの子になってしまいました。

シリーズとしてキャラクターに深みを出すためには、この「記憶」について掘り下げていく必要があったと思われるのですが、技術力の問題か、それとも制作側の趣向か(シリアスになりすぎるのを避けたのかもしれません)、第4作目以降ではクローズアップされることは無く、肉体面の話のみとなり、第2部で群像劇に大きく舵を切ることで結局うやむやになってしまいました。





まとまらないまとめ


ここまで頑張って書いてみましたが、結局のところ制作側の都合によって盛られる後付け設定のせいで、まったくまとまりません。そもそもブロンウィンが「第4のユニット」ではなくなった時点で破綻している気もしますが。第2作目までのポップなノリだったらまだ何とかなったかもしれませんが、重厚路線になってしまったので自ら首を絞めた感じですね。残念です。





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